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足は第二の心臓



 人間は二本の足で踵を地面にしっかり着けて直立で歩く唯一の動物です。地面からの衝撃を吸収するサスペンション、地面の起伏を察知し瞬時に情報を足の筋肉に伝える強力なセンサー、そして片足28個(両足合わせると全身の4分の1に当たります)の骨で構成される足は常に体の細かいバランスを調整しています。さらにこれらの機能を十分に発揮させるためのエネルギーを運ぶ足の毛細血管の数は半端ではありません。

 心臓が上に押し上げた血液は黙っていても重力によって再び下に下りて来ようとしますが、心臓より下に下りた血液は同じく重力によって下に引張られるので下に行けば行くほど再び戻りにくくなるわけで、とくに一番下に位置し毛細血管の集中した足には黙っていたら血液が淀んでしまいます。一カ所流れが悪くなるとそれは全身の血流にも影響してきます。疲れたときに足を高くして横になるとス〜ッと身体が軽くなるのはその所為でしょう。そして横にならなくても足の指を動かすことによってもある程度疲れをとることができますね。足の筋肉を動かすことによって足の毛細血管をもみほぐし血液の流れをよくするからです。

 二本の足で歩くという本来人間の当たり前の動作は体を移動させるためだけではなく全身の血液の流れを助けているのですが、近年、人類は足の本来の機能をあまり必要としなくなってしまいました。電車や航空機などはともかく、自動車やエレベーター、エスカレータ。足を使わずともちゃんと目的の場所に我々を運んでくれます。よしんば外を歩いてもアスファルトでキレイに舗装された道路、体のバランスをとる足の作業は最小限で済んでしまいます。それとともに第二の心臓は退化の道を歩んでいるのかも知れません。


 そういえば昨晩テレビでスポーツの名選手は歩き方も上手い、ってやってましたね。逆はどうなんでしょう? 私も歩き方にはそうとう自信あるんですがね(当たり前か(笑))。
(1999年 記)



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